iPhone が流行るわけがない、最終的に流行るのは…

巷で iPhone が話題です。僕も発売初日に手に入れたのですが、前々から iPod touch を使っていたこともあり、使い勝手も含めて特に予想外な点はありませんでした。初めて iPhone(2G) を触ったのは、キャズムを超えろ!の人がウノウに持ってきてくれた時なのですが、確かにその時は指で操作するインタフェースに感動しました。PC用のWebサイトを見たり、動画を見たりとエンターテイメント端末という意味では本当に素晴らしいです。しかし、僕がメインの使い方だと思っているコミュニケーション端末としては、文字入力に改善の余地があって、まだまだその分野のエキスパートである女子高生の使用に耐えうるものではないと感じました。

iPhone in  Japan

しかし、もちろんこの日本市場に iPhone が登場したことの意義は理解しているつもりで、僕が iPhone(とこれから登場するAndroid)に期待していることは次の4点です。

  1. 日本のキャリア主導型ビジネスの終焉
  2. アプリケーションの自由化
  3. PCからモバイルへの主役交代
  4. 日本の携帯電話メーカーの海外進出

2.アプリケーションの自由化に関しては、残念ながら iPhone では実現できません。勝手アプリは許可されていないので、必ずアプリケーションは App Store を通して配布しなければなりません。この App Store では売上げの30%を手数料としてアップルに納める必要があります。また、App Store で配布するに当たっては iPhone Developer Program に登録をしなければならず、たとえ公開しようとするアプリケーションが無料だったとしても10,800円を払ってデベロッパー登録をする必要があります。前に「クラウドコンピューティングは現代の小作農か?」という話を書きましたが、このアップルが提示している仕組みこそ現代の小作農です。

3.PCからモバイルへの主役交代は、日本では既に起こっています。総務省の調査によると、今やケータイからのネット利用がパソコンを上回っているそうです。今後はこの主役交代が世界規模で起こっていくものと思われます。世界の数十億人がいつでもどこでもインターネットに繋がる未来には非常にワクワクします。
昨年、インターネットの世界では、ブログ → Twitter というツールの変遷によって「他人の脳みそとの距離」が劇的に縮まりました。この距離は今後さらに縮まっていくものと思われ、それを後押しするために必要なのがより使いやすいモバイル端末です。 iPhone は現時点ではそれにかなり近いと思いますが、まだ完全ではありません。

4.日本の携帯電話メーカーの海外進出について。日本の携帯市場は鎖国だガラパゴスだと言われています。確かに、たかだか一億人のマーケットで既に市場は飽和状態、海外に進出するにしてもGSMとPDCの通信方式の違いから今までは海外展開することはできませんでした。 iPhone の参入は驚異だと言われていますが、この仕上がり具合とクローズさを見るに日本の携帯電話メーカーにとって逆にチャンスなのではないかという気がしています。
1.日本のキャリア主導型ビジネスの終焉とも関わってくるのですが、W-CDMA + Andorid というグローバルスタンダードなプラットフォームの上で携帯電話メーカー主導で端末を作る。小型電子機器は日本人の得意とするところで、これだけで世界中で売れる可能性が広がります。同時に Android, WebKit というグローバルスタンダードは、日本のアプリ開発会社やコンテンツホルダーの海外進出も可能にしてくれます。日本のゲームアプリや漫画ビューワーなんかは、あっという間に広がっていくのではないでしょうか。




最近のWeb界隈では、 iPhone は日本で流行るか流行らないかという議論が繰り広げられていましたが、もううんざりです。はっきりと言います。iPhone は流行りません。一時的に流行ったとしても最終的には日本のケータイが世界中で使われるようになります。そう自動車やデジタルカメラのように。

「日本の製品が売れないと僕らの生活は豊かにならない」ということをもっと真剣に考える必要があると思います。日本人は海外ブランドに弱くて、すぐに水戸黄門の印籠よろしく「ははーっ」となってしまいますが、本当は日本製品を誇りを持って買うべきです。もし、海外製品よりも劣っているところがあればメーカーに訴えるべきだし、メーカー側もやらせのブログ・マーケティングとかしている暇があったら、もっとケータイ先進国である消費者の意見を聞くべきです。

近年のクラウド・コンピューティングの発達と iPhone や Android といったモバイル端末はとても相性が良いです。僕はこれからの10年はこの分野で仕事をしていくことに決めました。日本のケータイが世界中で使われるその日に向けて。


5 Comments so far »

  1.  

    tmatsuo said

    on 2008-07-18 6:14 a.m.

    なるほど納得です。小作農というのは的確で面白い例えだと思います。

    私がなんとなく想像、そして期待している未来では、現在とは違い iPhone や Andoroid 携帯向けの CM (コマーシャル)によるビジネスモデルが台頭しています。また、アプリを買う時の課金手続きが標準化・サービス化されていて、誰でも自由に勝手アプリを売る亊ができます。

    Weboo さんの描く未来はどんななんでしょうか...私の未来と同じか違うかはわかりませんが、とにかくこういった視点で未来を想像するとわくわくしますよね。

  2.  

    weboo said

    on 2008-07-18 7:25 a.m.

    tmatsuoさん、こんにちは

    「クラウド・コンピューティングは現代の小作農か?」というのは、Jesse Vincent さんが言っていたことで、GoogleやAmazonが提供しているクラウド・コンピューティングに関して僕はそう思ってはいません。(下記参照)

    http://weboo-returns.com/blog/yapc-as...

    アップルの App Store を必ず通さなければならないという仕組みが問題だと思っています。iPhone で Flashを動かすことを許可しないのは、勝手AIRアプリが出てくるのを恐れているからではないかと勘ぐってしまいます。

  3.  

    Paul K. Nakagome said

    on 2008-07-18 10:11 a.m.

    「日本の製品が売れないと僕らの生活は豊かにならない」って、了見・視野が狭くありませんか?

  4.  

    wms said

    on 2008-07-22 7:38 p.m.

    現状のままで日本製携帯電話端末が海外で売れる可能性はほぼゼロだと思います。

    理由は、車などと異なり、携帯電話端末は言語的なロジックに基づいたUIが必要なんですが、これが日本語を前提にしたロジックで作られている限り、非日本語圏で受け入れられることが非常に難しいからです。そして、逆に言えば、iPhoneが日本語圏で売れそうにない理由とも合致してる訳です。

    今後日本の携帯電話端末メーカーが日本以外の市場でビジネスを成立させるためには、非日本語、つまり外国語のロジックを理解したエンジニアが主導でプロダクトを設計する以外にないのではないかと思われます。ただ、そういったポリシーで作られたものは、日本のユーザーには使いにくいものとなる可能性も高いですね。

  5.  

    weboo said

    on 2008-07-24 10:17 a.m.

    >Paul K. Nakagomeさん

    逆に視野の広い意見をお聞きしたいです。

    >wmsさん

    僕は、言語の壁はコンテンツのレイヤーで発生するものだと思っています。その証拠にWindowsなどのOSやWebブラウザなどのソフトウェアは、言語に関わらず同じUIでありながら世界中で使われています。
    このことは、Nintendo DSが世界中で売れていることからも分かるのではないでしょうか。


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